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No. 511 ケアサービスセンター てふ・てふ
ね〜ね〜
2014/10/14-15:31

ヘルパーになり、早や半年が過ぎた。
訪問件数も少しずつ増え、その分出逢うお年寄りの数も増えた。

ヘルパー2級の資格をとって間もない頃、Nさんに出会った(90歳男性)。
訪問では、昼ご飯を作ることを中心とした支援だった。
家族以外に手料理を振舞ったことがあまりない私には、人様に食べてもらう料理を作るのは何せ緊張した。
「いかに食べやすく、健康食でありながらも美味を保ち、温かいまま配膳する」
これをモットーに、その人の好みもあるので気を遣いながら一品一品を作った。
初めて訪問した日、Nさんは私のことをじっと見つめていた。
「あんた変わった人だね〜。」と言われたのを今でも覚えている。
「よく言われるさ〜。」と私は微笑んだ。実際、よく言われるのだ(笑)。
私にとって「変わった人」と言われるのは褒め言葉だと捉えているので嬉しい一言だった。

Nさんは毎回、私が作ったものを美味しいと言って食べてくれた。(ほんまやろか?)
私は「美味しい」をもっともっと聞きたくて毎日インターネットでレシピを粗探ししていた。

ある日、私が訪ねると杖は食卓テーブルに立てられ、その横にこぼれんばかりの笑顔のNさんが椅子に腰かけていた。
網戸を開け、そ〜っと中に入るとNさんは壁の方に向かってひとさし指を向けた。
私はその方向に視線を移した。
ひとさし指の先にはきれいに並べられたピンクの花柄の健康サンダルが置かれていた。
「ヘルパーのために嫁さんに買ってもらった。」
Nさんはニコニコしながらそう言った。
私は、顔が熱くなるのを感じた。
健康サンダルに静かに足を入れ、運動会で全体行進する子供のように緊張しながら床を歩いた。
そして、いつものように台所にてご飯を作り始めた。
その日、Nさんはいつもに増して上機嫌だった。

そして、半年が過ぎた。

Nさんは、いつからかご飯を食べなくなってしまった。
「お腹は空いているが何も喉を通らない」とそう言って嘆いた。
肉が大好きなNさんのために私は豚肉と白菜の煮物を作った。
おかゆ、味噌汁と一緒に食卓テーブルの上に並べたが、Nさんは手を出すことさえなかった。
Nさんは早々とベッドへ行き、横になった。
いつもと様子が違うことに気づいた私はNさんのベッド脇に椅子を置き、腰かけた。
全身で話を聞くつもりだった。
「どうしたの?」
Nさんは淡々と話し始めた。
小さい声ではあったが、Nさんは確実に何かを伝えようとしているのを感じた。
昔の戦時中の苦労話に始まり、6年前に亡くなった奥さんの話や死に対する恐怖感について語り始めた。
奥さんの話になると、仏壇の上に飾られた写真に向かって手を合わせ拝んでいた。
「母ちゃん、申し訳ない」と何度も繰り返していた。
私は、ただただ横で話を聞き、頷くことしかできなかった。

Nさんが私の目をまっすぐと見つめた。
「自分はあと何か月生きられるんだろぅ?」
私は初めてのことだったので、正直プロとしてどう答えるべきか悩んだ。
思わず私は言った。
「あんなこと言わないで。何ヶ月じゃないでしょ。あと10年生きるんだよ。私が来る場所がなくなるでしょ。」
「そのためにも、ごはん少しずつでいいから食べてエネルギーをつけないとね。」
私は必死で涙が出るのを抑えた。
Nさんはじ〜っと私の目を見つめ、そして私の右手を握った。
「ありがとうね。」
「ね〜ね〜(姉さん)がいてくれて本当に良かった。」と消えそうな声で言った。
Nさんの右の頬に涙が伝い落ちていくのが見えた。
その時、初めて「ヘルパー」ではなく「ね〜ね〜」と呼ばれたことに気づいた。
それは、1のヘルパーとしてではなく、1の「人間」としてNさんが私を見てくれた瞬間だったのかもしれない。

プロとして感情移入することはタブーだと教わったが、何せ初めての経験だったので何とかNさんの恐怖感を和らげたいという思いで胸がいっぱいだった。
支援時間はとうに過ぎていたが、私はすぐに腰を上げることはできなかった。
Nさんの心の中のものを全て出してほしかった。
その後も、しばらくNさんは話を続けた。
私はタイミングを見て、Nさんの体をさすりながら言った。
「Nさん、一緒に頑張っていこうね。」
Nさんは目を潤ませ、頷いた。
「ありがとう。」と私の手を握りしめ小さく会釈した。
私は「また来るからね。」と伝え、手を振った。
いつものハイタッチで別れ、私はその場を後にした。
事務所までの帰り道(運転中)、気持ちが重かった。
プロとしてまだまだ未熟な自分に落ち込んだ。

どうすれば良かったのだろう?
まだ答えは見つかっていない。
あれからまだNさんには会っていない。
他のヘルパーさんが訪問しているため、様子を聞くことしかできない。

Nさん、今日も庭にあるハイビスカスを見つめながらラジオ聴いてるのかなぁ?
また、会いに来るからよ!


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